日曜日はなかった。

Sunday is dead. 日々の雑感。見たアニメや映画、読んだ本とかについて。

わたしの最高の友達!『魔法つかいプリキュア!』感想

 
すごかったですね。
終わってしまいましたね。
 

魔法つかいプリキュア!  2017カレンダー壁掛け

 
49話。やばかったですね。
あの徒競走後のクールダウンのような50話がなければ正直社会生活に影響が出るレベルであることよ。
 
まさかこんなに尊いと思える作品になるとは。
 
まほプリ平常時のほんっと敵の目的とみらリコがリンクしない作風。
「みらいちゃんとリコちゃんがラブラブするのを一年間見ていくのかな 」
それでもいいけど、一年間ぬるま湯のような百合でも自分は耐えられるのか。自信はありませんでした。
 
結論から言うと、耐えられたんですけど。
というか、かわいくて毎回毎回ほぼ悶絶してましたけど。
 
それ以上に、後半近づくにつれて設定の盛り上がりが壮大すぎて
プリキュアがほとんどワイドスクリーンバロックなSFになっていく!
 
時間と空間を手玉に取り、気の狂ったスズメバチのようにブンブン飛びまわる。機知に富み、深遠であると同時に軽薄— ブライアン・W・オールディス、『十億年の宴』p.305より 浅倉久志
 
そうだ。
このプリキュアの初心者向けな説明や設定資料集が出れば一発で判別できる内容も関係なく、
私はただプリキュアの話をしたい!だから全部見た前提でしか話さない!一方的に!いきおいだけで私の妄想を!
ここはそういう場所ですよ!

■ここがすごいよまほプリ

まほプリの私の思う偉大なところのひとつは序盤に倒された最初のボス「ドクロクシー」様が、実は真のボス「終わりなき混沌デウスマスト」の眷属オルーバによって仕組まれた道具だった件
 
ドクロクシーの作ったバッティさんら下僕たちがそれを暴露され、結局何の役にも立たず道具にもなり切れなかった道具と言われた時のあの憤怒ですよ。
 
そんな己の存在価値を否定されるロボットみたいな展開で、
 
「われらの生き様! 茶番とはいわせない!」
 
あのバッティさんのイカスセリフですよ。
 
主人に仕えるために生み出されたのに、主人を失って存在意義を失いアイデンティティーの危機だったところで、根幹にさらなる追い打ちにあれですからね。
こんな熱い展開たまらんですよ。
 
で、この時私、思いました。
我々はアイデンティティーのない存在をまだ知っている!
 
はーちゃん! お前は何だ!
 
はぁーっ!「マザー・ラパーパ」の遺志を継ぐものですか。
だけど39話であっさり話されていてビビったのが、変身アイテムのリンクルストーンはデウスマスト復活に備えてマザー・ラパーパが撒いた種らしんですよ。魔法つかいプリキュアも、その布石ありきらしいんですよ。
 
私がびっくりこいたのはこれ、
マザー・ラパーパがやってたこと、デウスマストと同じじゃん!
 
はーちゃんはこれ、じゃあバッティさんと同じじゃん!
 
神々が全部プログラムしたこれは代理戦争かよ!
 
こんなさ、自分の代替となる存在に宿命をプログラムして、それを清く正しく育て上げる少女が二人用意されるように仕組むってなんだよ。
もうマザー・ラパーパの全てシナリオ通りよ。リンクルスマホンは裏死海文書みたいなもんなのかい。
 
そしてはーちゃんは神になってほとんどあれ「円環の理」ですよ。最後に近づくにつれて己の存在、宿命に気が付いたはーちゃんの心中はいかほどだよ。なのにあんな無邪気に微笑んで……。
 
酷だよ!
 
で、たぶんあれ。みらリコは老いて行くし、どちらかが亡くなればモフルンも完全に沈黙でしょ。でもはーちゃんは永遠に存在する……。
 
酷だよ!
 
大事な人を無くし、いつか心を壊して「終わりなき混沌」の再来になりませんか? だいじょうぶ?
 
せめて手を握って死にゆく2人の老婆の元にはーちゃんが訪れる穏やかな二次創作できるんじゃないの?

ワイドスクリーンバロックといったな。だがセカイ系の話をします。

とにかく39話と40話は驚くことばかりで。
デウスマストは宇宙のなりそこないだし、生命エネルギー溢れる地球を混ぜ合わせて強大な宇宙破壊爆弾を作ろうとしてたし、はーちゃんは円環の理だし、びっくりしたのが39話の最後でいつの間にか地球も生命も境目のない世界になってLCLの海に落ちたような状況になってたことだし、極めつけはあの時空を超えた遠距離百合約5年間ですよ。
 
まどマギ」「エヴァ」「君の名は」の半径15メートルの君と僕の関係がセカイに関わる系総決算か。ハチャメチャ大混乱だ~
 
考えれば考えるほど壮大な設定も展開もメッセージもめちゃくちゃあるのに、物語を通る筋は基本「のほほん」としたみらリコです。
 
この貫徹するブレない様子がえらい。
 
みらリコは基本自分たちのちょっと不思議な日常にふりかかる火の粉を払っていただけだけど、その二人の愛の結晶としてはーちゃんが生まれ、はーちゃんが具体的な宿命をすべて背負っていくスタイル。みらリコの関係で突き通せたのも、君と僕(百合)の日常と世界の危機がリンクする間に、セカイ系的な業を受け止め吸収する存在が2人とは別にいたおかげかなと思い、この構成は見当違いかもしれないがなんだか感心。
 
みらリコに比べると心理描写の少ないはーちゃんだけど、最終回になるにつれあの健気さはたまらないものがありました。
 
まあ、みらリコ派ですが。
あとキュアモフルン。
 
いやあ、ほんと。プリキュアっていいものですね。
終わってしまったなあ。終わって……
たすけて……
 

 (おまけ)ワイドスクリーンバロック ↓

カエアンの聖衣〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫SF)

カエアンの聖衣〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫SF)